『増補改訂版 フィードバック入門』を読んだ

はじめに

『増補改訂版 フィードバック入門』を読んだ感想です。

フィードバックの難しさ

自分より経験豊富なメンバーとの1on1で、手応えがないと感じることがある。日々の業務の中で、相手の方が明らかに広い景色を見ていると感じる場面がある。自分が教わる側になることも少なくない。そういう関係性の中で、フィードバックをする立場にはいる。でも、何を言えばいいか迷う。フィードバックにつまる場面を振り返ったとき、そういうことを思い出した。

結局、当たり障りのない話をして、1on1を終える。「別に自分がアドバイスできることなんてないんじゃないか」と思いつつ、手応えもあまり感じない。

この本を読んで、うまくいかなかった理由が少し見えた。準備不足。そもそも観察が足りていないから、伝えられることがない。フィードバックは気持ちの問題ではなく、技術の問題でした。

フィードバックとは何か

この本ではフィードバックを「情報の通知」と「立て直し」の二つに分けて定義しています。

  • 情報の通知:耳の痛いことであっても、部下のパフォーマンスに対して現状を率直に伝えること
  • 立て直し:部下が自らの行動を振り返り、今後のアクションプランを立てる支援を行うこと

振り返ると、どちらもうまくできていないケースがありました。「何を通知すべきか」が見えていないこともあったし、立て直しの支援につなげられないこともあった。相手の方ができるという先入観があって、観察が足りていなかったんだと思います。見ていなければ、伝えられることも少ないです。

「不要だ」は判断か、思い込みか

この本では部下育成を「経験軸」と「ピープル軸」の二つで捉えています。経験軸はコンフォートゾーンからストレッチゾーンへ導く話で、ピープル軸は成長に必要な他者からの支援を「業務支援」「内省支援」「精神支援」に分類しています。

この中で気になったのは「内省支援」でした。客観的な視点を提供し、本人が気づいていない盲点を指摘することで自己認識を促す。フィードバックがやっていることは、この内省支援に近いと思います。

正直なところ、スキルや知識、経験で自分より先にいる人に内省支援がいつも必要かどうかはわかりません。実際に不要なケースもあると思います。ただ、自分の場合は「この人には不要だ」という判断が、ちゃんと観察した上での結論だったかというと、そうではなかったように思います。十分に観察しないまま「不要だろう」で済ませていたところがあったと思います。

準備不足と手応えのなさ

著者はフィードバックのプロセスを「事前準備(SBI情報の収集)→ 本番(事実通知・振り返り支援)→ 事後フォローアップ」の3ステップで整理しています。SBIとは、Situation(どの場面で)、Behavior(どんな行動が)、Impact(どんな影響を与えたか)の頭文字です。繰り返し強調されているのは、事前準備が一番大事だということでした。

これを読んで、自分が過去の1on1で手応えがなかったケースの理由がわかった気がしました。SBI情報を十分に持っていなかった。相手の行動を丁寧に観察できていない。だから「何を伝えるべきか」がはっきりしないし、はっきりしないから「そんなに言うことないな」と感じる。結果、無難に着地する。

1on1との関係

この本ではフィードバックの鮮度を保つために隔週15分程度の1on1を推奨しています。短い時間でもいいから頻度を上げることで、SBI情報を継続的に集められるし、タイムリーなフィードバックができるようになります。

1on1の頻度は「何のためにやるか」で決まると思います。行動変容を促すフィードバックが目的なら隔週は必要だし、情報共有・進捗管理が主目的なら月1でも成り立つ。頻度を上げること自体が目的化しないよう、何のための1on1なのかは常に問い直したいところです。

まとめ

事前準備、観察が重要なんだと改めて思わされた一冊でした。チーム内での振る舞い、意思決定のプロセス、周囲への影響、そういうものをSBIのフレームで言語化して、伝える材料を持った上で1on1に臨む。それだけでも、これまでとは違う1on1になりそうです。