はじめに
エンジニアリングマネージャーに求められる役割とは何かをあらためて整理したいと思い、これまでに読んだ本や資料の中から、特に「しっくりきた」と感じた内容をベースにまとめることにした。
エンジニアリングマネージャーとはどのような役割なのか、どんなミッションを持つのか、その役割を果たすために何が必要なのか。そんな問いに向き合うため、自分なりに整理しておく。
マネージャーの役割・ミッションについて
いろいろ資料を読んだ中で、一番しっくりきたのは、東京商工会議所が出しているビジネス検定のテキストに書かれていた内容だった。そこでは、マネージャーの役割として、次のように整理されている。
- 経営方針やチームの目標を共有し、浸透させる
- 戦略を立てて実行し、問題を解決しながら目標を達成する
- チームのエネルギーを最大化する
- 部下を育成し、適切に評価する
- リスクを迅速かつ適切に処理する
いろいろ資料や記事を読んで感じたのは、多くの資料で「チームの成果を最大化すること」が強調されていたことだった。実際、エンジニアリングマネージャーたちが自分の経験や実践してることをぎゅっとまとめて言語化すると、そういう結論になるんだろうと思った。
チームの成果を最大化する目的を逆算して考えると、結局は「ビジネスに貢献するため」という答えにたどり着くと思う。そういう意味では、エンジニアリングマネージャーの役割も、一般的なマネージャーと基本的には同じはず。「チームの価値を最大化する」とあわせて、「何のために最大化するのか」というより上位の意図まで含んでいて、わかりやすかったし納得感があった。
エンジニアリングマネージャーロードマップ
先ほど挙げた5つの役割を、エンジニアリングマネージャー向けに深掘りする。深掘りには「エンジニアリングマネージャーのロードマップ」を参考にする。このロードマップには、エンジニアリングマネージャーに必要なスキルや知識が整理されている。
この内容をベースに、各役割を具体的な行動やスキルレベルにブレイクダウンし、より実践的に理解していきたい。
経営方針とチームの目標を共有・浸透させる
- ビジョンの整合性: 経営層のビジョンや戦略的目標をエンジニアリングチームの目標に落とし込む重要性、全員が共通のゴールを理解し向かうためのコミュニケーションの工夫について記載。 (URL)
- コミュニケーション計画: 組織変革時のコミュニケーション計画、方針や変更内容を明確に伝える重要性について記載。 (URL)
戦略を立てて実行し、問題を解決しながら目標を達成する
- 変革戦略: 組織のビジョンを明確にし、現実的な目標を設定し、ロードマップを策定・実行するプロセスや、変化に伴う課題への対応について記載。 (URL)
- プロダクト戦略の整合性: 会社のゴールをプロダクトロードマップに落とし込み、チームが戦略的に動けるようにする役割や、戦略実行時の課題について記載。 (URL)
- 技術ロードマッピング: 技術ロードマップの策定と、ビジネス要件・技術要件の両立、戦略的な実行・調整について記載。 (URL)
- マイルストーン管理: プロジェクトのマイルストーンを設定し、進捗管理や課題解決を通じて目標達成を目指すプロセスについて記載。 (URL)
- ステークホルダー管理: ステークホルダー間での合意形成や、異なる利害を調整しながらプロジェクト目標を達成するための戦略的対応について記載。 (URL)
- プロセス: エンジニアリングマネージャーがプロセス全体を設計・最適化し、ボトルネック解消や継続的改善を通じて目標達成を図る内容。 (URL)
- プロジェクト追跡: プロジェクト進捗のモニタリングや課題発見・解決を通じて、目標達成を確実にする役割について記載。 (URL)
- 機能の優先順位付け: 顧客要望やリソースを考慮し、優先順位をつけて戦略的に開発を進めるプロセスと課題解決について記載。 (URL)
- スコープ管理: プロジェクトのスコープを明確にし、チームが目標に集中できるようにする方法について記載。 (URL)
チームのエネルギーを最大化する
- チームのモチベーション: チームメンバーのモチベーションを理解し、目標設定やフィードバック、ポジティブな職場環境づくりを通じてやる気を引き出す方法について記載。 (URL)
- チーム健全性指標: チームの生産性や士気、効果性を定期的に計測し、課題があれば早期に対処する重要性について記載。 (URL)
- 評価プログラム: チームの貢献や成果を認めるプログラムの設計・運用について記載。 (URL)
- チーム構造と設計: 適切な役割設計やコミュニケーション体制の構築を通じて、チームの生産性と適応力を高める方法について記載。 (URL)
- チームの伝統と儀式: チームの伝統や儀式(定例会、ランチ、成果の祝福など)を通じて一体感や士気を高める方法について記載。 (URL)
- 学習文化の発展: 継続的な学習文化の醸成と、成長機会の提供によるチームの活性化について記載。 (URL)
- イノベーションの促進: 創造性や挑戦を促す環境づくり、失敗から学ぶ文化の重要性について記載。 (URL)
- 包括的な環境づくり: 多様性を尊重し、全員が安心して力を発揮できる環境づくりについて記載。 (URL)
- 速度追跡: チームのペースを適切に管理し、燃え尽きや過度な負荷を防ぎつつ持続的なパフォーマンスを維持する方法について記載。 (URL)
部下を育成し、適切に評価する
- メンタリングとコーチング: メンバーの成長を支援するメンタリングやコーチングの実践、個々の強みや課題に合わせたサポート方法について記載。 (URL)
- メンタリングプログラム: メンター・メンティーの適切なペアリングや、知識移転・成長支援のためのプログラム設計について記載。 (URL)
- キャリア開発計画: チームメンバーのキャリア開発支援、成長機会の提供、個人の目標と組織目標の整合について記載。 (URL)
- 1対1ミーティング: 1on1を通じた個別の課題把握や成長支援、パフォーマンス向上のための対話について記載。 (URL)
- パフォーマンス評価: チームメンバーの成果や成長を定期的に評価し、建設的なフィードバックを通じて成長を促す方法について記載。 (URL)
- フィードバックの伝達: 建設的なフィードバックの伝え方、成長を促すコミュニケーションの工夫について記載。 (URL)
リスクを迅速かつ適切に処理する
- リスク管理: プロジェクトにおけるリスクの特定・評価・対策実施、リスク低減と進捗のバランス、チーム・ステークホルダーとの連携について記載。 (URL)
- 技術的リスク評価: 技術的リスク(技術的負債や老朽化など)の特定・評価・回避策、災害復旧計画の策定について記載。 (URL)
- 緊急時計画(バックアップ戦略): プロジェクト進行中の様々なリスクに備えたバックアップ戦略の策定・運用について記載。 (URL)
- 緊急時計画(柔軟性): 予期せぬ事態や障害に備えたチームの柔軟な対応力・問題解決力の醸成について記載。 (URL)
- インシデント管理: インシデント発生時の対応プロトコル策定、チームの役割分担、冷静な対応・学びの機会化について記載。 (URL)
- 緊急プロトコル: 緊急時のプロトコル策定・訓練・実行、ダウンタイム最小化や冷静な対応の重要性について記載。 (URL)
- セキュリティインシデント対応(連携): セキュリティインシデント発生時の対応、チーム・関係者との連携、ストレス管理について記載。 (URL)
- セキュリティインシデント対応(体制): セキュリティインシデント対応プロトコルの策定、チーム教育、最新脅威への対応力強化について記載。 (URL)
- コスト最適化: コスト最適化の中で予期せぬ支出やリスクへの備え、リスク要因の特定と対策について記載。 (URL)
おわりに
改めてエンジニアリングマネージャーとは何か、マネージャーの役割とは何かを調べたり考えたりしていたら、やることも多いし求められるレベルがとても高くて大変だなと感じた。
経営の計画をもとに目標を立て、その目標を達成するための道筋を考え、チームの成果を最大化することで目標を実現する。この一連のプロセスに責任を持つのがマネージャーの役割なんだと改めて理解した。
参考