はじめに
プロダクトマネージャーとは何なのか、プロダクトマネージメントとは何なのかが気になって読みはじめた。
普段、開発者として働いているが、PM 以外のメンバーでも、この本に出てくるプラックティスやコミュニケーションの取り方は参考になると思う。
PM に限らず、良いプロダクトを作りたいと思ってる人におすすめの一冊。
以下、各章の要約と感想
1章 プロダクトマネージャーの実践
📝 この章に書いてあること
プロダクトマネージメントとは何で、何ではないか、プロダクトマネージャーとは何なのか?が書かかれてる。
組織やプロダクトのフェーズで、プロダクトマネージメントの内容が異なるので、プロダクトマネージャーの仕事を定義することは難しい。
💁🏻♂️ 感想
組織やプロダクトのフェーズによってやることが全然違うので、プロダクトマネージャーの仕事の定義することは難しそう。ざっくりいうと、プロダクトを成功させるためになんでもやる人という感じだろうか。
2章 プロダクトマネージメントのCOREスキル
📝 この章に書いてあること
PMのコアスキルについて書かれてる。PMのいちばんのコアスキルは人やものをつなげるコミュニケーションのスキルらしい。勘違いされがちだけど、プロダクト開発に必要な各ロール(UX・テック・ビジネス)の技能の寄せ集め的なスキルではない。
🗒️ PMのコアスキル
- Communicate: ステークホルダーとコミュニケーションする。(心地よさより明確さ)
- Organize: 持続的に成功するチームを組織する(自らを不要とせよ)
- Research: プロダクトのユーザーのニーズとゴールをリサーチする(ユーザーの現実をいきよ)
- Execute: プロダクトチームがゴールに到達するための日々のタスクを実行する(すべての努力はアウトカムのために)
💁🏻♂️ 感想
コアスキルの 持続的に成功するチームを組織化するに「自らを不要とせよ」と書かれてたのが興味深かった。これは PM がいなくても、チームで判断して優先度付けとデリバリーができるようなチームを作る、ということなんだけど、スクラムマスターの自己組織化を促進させる役割と似てるなーと思った。
3章 好奇心をあらわにする
📝 この章に書いてあること
優れたPMの特徴に好奇心がある。なぜ好奇心をが重要なのか、好奇心をベースにしたコミュニケーションの取り方について書かれてる。好奇心ベースのコミュニケーションの取り方について学びたい人におすすめの章。
💁🏻♂️ 感想
この章で しなやかなマインドセット という言葉を初めて知った。このマインドセットいいなーと思った。
なぜというワードを使って理由を尋ねると、相手が答えを持っていなかった場合に不安にさせたり、防御反応をさせてしまうことがある。だから、なぜというワードを使わずに、なぜを聞くようにすると、コミュニケーションが円滑になると書かれてて、なるほどなーと思った。僕も質問するときに、もし答えを持ってなかったら気まずい感じになるかも、と思い聞き方を気にすることが結構あるので、参考になった。
好奇心を広げるために、機能横断ペアワークがおすすめされてた。デザイナーとエンジニアで一緒にFigmaでデザインしてみるのもおもしろそうだなーと思ったので、機会があったらやってみたい。
🗒️ しなやかマインドセットとは
学習と成功にまつわる先駆者的研究において、人間はしなやかマインドセットか硬直マインドセットで動く
- しなやかマインドセット:失敗や挫折を学習の機会だととらえる。初めてのスキルや物事を成長の機会として取り組むことができる。
- 硬直マインドセット:失敗や挫折を本来備わっている価値の悪い面の表れだととらえる。初めてのスキルや物事に恐怖を感じる。
4章 過剰コミュニケーションの技術
📝 この章に書いてあること
プロダクトマネージメントのプラックティスの過剰コミュニケーションについて書かれてる。
💁🏻♂️ 感想
沈黙は不合意で、Disagree & Commit のルールでは、積極的なコミットメントしか合意として扱わない、というのが印象的だった。経験的にも沈黙は暗黙の合意のようなケースが多かったので、沈黙は合意じゃないのか、なるほどなーと思った。
Disagree & Commit のルールで、なぜ積極的なコミットメントのみ合意にするかというと、なんとなく良さそうで合意を取ると、後から問題点が発生したときに、簡単に合意がなかったことにされるからだ。合意したことが意味をなさなくなることを防ぐため、沈黙してる場合、なぜコミットできないのかを聞くことで、現状わかる懸念が洗い出され、よりよい解決策を見つけることができる。
コミュニケーションをとるときの参考になることが多く書かれた章だった。また読み返したい。
5章 シニアステークホルダーと働く
📝 この章に書いてあること
シニアステークホルダーと良い関係を保ちたながら仕事を進めるための戦略が書かれている。
シニアステークホルダーとは、組織で直接的な権限や意思決定を持つ人のこと。例えば、創業者、投資家 などだ。
💁🏻♂️ 感想
ステークホルダーとのコミュニケーションや社内政治は大変そう。良くも悪くもコミュニケーションのとり方次第で結果が変わるよなーと思った。PMのいちばんのコアスキルは、コミュニケーションだと散々書かれてるように、こういうところでも必要とされるんだと思った。
よくあるシナリオで紹介されてるケースのアンチパターン解説も参考になった。ステークホルダーに、何でもかんでも Yes じゃダメだし、対立してもダメ。好奇心を持ってコミュニケーションすることが大事。やはりコミュニケーション大事だーと思った。
6章 ユーザーに話しかける
📝 この章に書いてあること
ユーザーとの会話の方法、話し方、ユーザーリサーチについて書かれてる。
ユーザーとの会話は、プロダクトにとって大きな意味のある発見を見つけることができ、目的やニーズ、どんな社会に生きているのかを学ぶことができる。
🗒️ ユーザーリサーチの教訓
- 一般論ではなく具体的な例をお願いする
- 自分が聞きたかったことを聞いても興奮しすぎないようにする
- ユーザーにあなたの仕事を依頼してはいけない
💁🏻♂️ 感想
ユーザーとの会話は、簡単そうに見えてとても難しそう。素直に会話して要望を聞くだけだと、簡単そうに見えるが、実際はユーザーとの会話から観察して、本当に困ってることやプロダクトに意味のある発見を探し出さないといけない。これは特別な技能なようにも思えるし、量もこなさないとコツを掴めなさそうにも思った。
7章 「ベストプラックティス」のワーストなところ
📝 この章に書いてあること
ベストプラックティスや過去の成功事例が全て正しいわけではないよ、ということが書かれてる。
世の中に出回ってるプロダクトマネージメントのベストプラックティスや過去の成功事例は、どんな組織でも同じようにワークするわけではない。だから、ベストプラックティスや過去の経験を鵜呑みにせず、今の組織における制約やコミュニケーションを理解した上で、本当に必要なことをやることが重要。
💁🏻♂️ 感想
ベストプラックティスを有効に使うためには、そもそもどんな問題解決をしたいのか(なぜそのベストプラックティスを使いたいのか)、を把握することが大事と書かれてて、確かになーと思った。
ベストプラックティスでおすすめされるようなツールやフレームワーク依存に質問を、組織や人の問題にフォーカスさせるための質問に変換させるリスト便利そうだった。新しく参画したプロジェクトで、どのように開発が進まれれてるか把握するために使っても有効そう。
🗒️ 質問リスト
- 「ロードマップにお勧めのツールは?」→「どうやって会社の内部、外部に次に開発する機能を説明しているか?」
- 「プロダクトビジョンを書くのにどのツールを使っているか?」→「チームを動機づけるためにどうやって未来のビジョンを共有しているか?」
- 「OKRをトラッキングするのに最適なツールは?」→「会社にとって重要なこと、そうでないことをどうやって判断しているか? そして、どうやって伝えているか?」
- 「スクラムとカンバンはどっちがいい?」→「開発するものと開発しないもの、どうやって判断しているか?」
- 「コンセプト共有のためのワイヤフレームツールのお勧めは?」→「初期のプロダクトアイデアをどうやって伝えているか?
8章 アジャイルについての素晴らしく残念な真実
📝 この章に書いてあること
アジャイルのプラクティス、プロセス、フレームワークを成功させるための戦略と手法が書かれてる。
アジャイルで開発をしてる人たちは、ぜひ読んでほしい章。
💁🏻♂️ 感想
アジャイルは、シンプルに当たり前のことをやるだけ、と書かれてたのが印象的だった。プロダクトの成功のためにやることは「コラボレーションする。デリバリーする。内省する。改善する」といったとても単純なことだ。アジャイルをシンプルに表現すると、こういうことなんだなーと思った。
重々承知してるつもりだけど、どんなことでもそれを何のためにやってるのかは、常々忘れないようにしたい。目的を失ってしまったアジャイルが、残念な感じになってしまうんだろうなーと思った。
🗒️ アジャイルのこころ
- コラボレーションする
- デリバリーする
- 内省する
- 改善する
9章 ドキュメントは無限に時間を浪費する
📝 この章に書いてあること
あまり時間をかけずに役立つドキュメントを書く方法が書かれてる。
そもそも何のためにドキュメント書くのか、チームにとってどう役立つのかが書かれており、ドキュメントについて悩んでる人におすすめの章。
💁🏻♂️ 感想
最高のドキュメントは不完全で良い、と書かれてたのが印象的だった。ドキュメントはチーム内で共通認識を持ったり、コラボレーションするために使うものと位置付けたときに、あえて不完全にすることで、チーム内のコラボレーションを促進させたり、新たな問題を発見することができる、と書かれててこの考え方すごくいいなーと思った。メニューは食事ではない のインパクト強かった。
10章 ビジョン、ミッション、達成目標、戦略を始めとしたイケてる言葉たち
📝 この章に書いてあること
チームが成功するためのゴールや戦略の立て方が書かれてる。
ビジョン、ミッション、達成目標、戦略、といった言葉でで表現されるものは、1. 何を達成しようとしているのか 2. どうやって達成するのか に集約され、アウトカムを生み出すために存在する。
🗒️ アウトカム
アウトカムは、ビジネスの成果や顧客のための課題、世界全体に与えるプラスの影響こと。アウトプットよりアウトカム というスローガンがあるが、アウトカムとアプトプットは二者択一ではない。アウトカムを達成するために、アウトプットをどうデリバリーするか考える必要がある。
🗒️ チームが意思決定をする際に戦略が役立ってる兆候
- チーム全員があなたの戦略を1行か2行で暗唱できる
- 何を作らないかを決めるときに役に立つ
- しばらくするとあなたの戦略が古臭く思えてくる
💁🏻♂️ 感想
チームの戦略やゴールを考えるときに参考になる章だった。ポイントは、何を達成しようとしてるのか、どうやって達成しているのか、の問いをいかにシンプルに答えれるようにするかなのかなーと思った。戦略を考える人と実行する人を分けず、チームでちゃんと考えることも重要。
11章 データ、舵を取れ!
📝 この章に書いてあること
ユーザー、プロダクトの理解や意思決定に役立つデータの活用方法について書かれてる。
指標についての考え方、プロダクトマネージャーが持つ数字の責任、アウトカムの定量評価の難しさなど、プロダクトマネージメントでどうデータを取り扱うか気になる人におすすめの章。
💁🏻♂️ 感想
特定のアウトカムをデータから定量評価するって難しよなーと思った。だから、定量目標は、達成目標ではなく、チームの優先順位をつけるものとしてとらえなすと書かれてて、なるほどなーと思った。(そもそもアウトカムをはっきり特定するのも難しそう)
🗒️ 定量目標に沿ったチームの行動に関する6つ責任
- どの指標を見ていて、それらがどうやってチームや会社全体のゴールとつながっているか知ること
- 指標に対して、明確で具体的な目標を持つこと
- 指標に今何が起きているのか知ること
- 指標を動かす内在的な要因を特定すること
- どの内在的な要因に対して自分とチームが効果的に対応できるのか決定すること
- 対応について優先順位づけされた行動計画を立てること
12章 優先順位づけ:すべてのよりどころ
📝 この章に書いてあること
プロダクトの優先順位づけ、意思決定方法について書かれてる。
優先順位づけには、トレードオフがあり、会社、チーム、プロダクト、ユーザーのゴール、戦略、指標など、さまざまなレイヤーの考慮が必要。
🗒️ 優先順位をつけるためのヒント
- 定期的に自分たちのプロダクトを使って、タスク全体やユーザージャーニー全体を通しでやってみる
- 作業の依存関係ではなく、チームのゴールから始める
- 引き算の解決策に目を向ける
- 小さく始める
💁🏻♂️ 感想
優先順位は、ゴールや戦略に紐づくので、そこがわかりやすく整理されてたら優先順位つけやすいんじゃないかなーと思ったけど、現実には、綺麗に整理されてることはあまりないかもしれない。
特にチームをまたいだり、優先度をつける段階で戦略やゴールの曖昧な点が見つかることがありそうで、整理しても、崩れることは多そう。
13章 おうちでやってみよう:リモートワークの試練と困難
📝 この章に書いてあること
プロダクトマネージメントをリモートで行うときの課題と解決策について書かれてる。
同期・非同期でのコミュニケーションの取り方が紹介されており、リモートワークでのコミュニケーションの取り方について参考になる章。
💁🏻♂️ 感想
チームの信頼関係を構築する上での障害は、コミュニケーションに対する期待値が合ってないことだと書かれてて、確かになーと思った。流れや雰囲気で、どんなコミュニケーションが良さそうか意識することはあったけど、明示的にコミュニケーションマニュアルを用意するみたいなことはやったことなかった。人が増えたりすると必要になってくるかも。
14章 プロダクトマネージャーの中のマネージャー(プロダクトリーダーシップ編)
📝 この章に書いてあること
プロダクトマネージメントする上でのリーダーシップの取り方について書かれてる。
マイクロマネージメントをせずに、持続的に成功するチーム作り、アウトカムを最大化するために、どんなリーダーシップ取ればいいか気になる人におすすめの章。
🗒️ プロダクトチームをマイクロマネージメントしないようにするために役立つこと
- 明確なゴール
- 明確なガードレール
- 小さなフィードバックループ
🗒️ 何がアウトカムで何がそうではないかを評価するためのチェックリスト
- それは計測可能か?
- 自分たちのコントロールできる範囲の少し外側か?(マーケットからのフィードバックが必要か?)
- 今年の会社のゴールにつながるか?
💁🏻♂️ 感想
章のタイトルにプロダクトマネージャーの中のマネージャーと書かれてるが、プロダクトのリーダーシップを学びたい人全般に向けた内容になっていて、勉強になることが多かった。
プロダクトのアウトカムを大きくすること、自らが不要になっても持続的に成長できる組織を作ること、がポイントそう。難しそう。
15章 良いときと悪いとき
📝 この章に書いてあること
成熟した組織でのプロダクトマネージメントの方法について書かれてる。
プロダクトが成功し安定してきたら、今のやり方をそのまま続けることで、うまくいくと感じるが、ユーザーニーズは急激に変化するため、数字上うまくいってるように見えても、新しいアイディアや挑戦を積極的にチームに持ち込むことがおすすめされてる。
🗒️ チームや組織の健全性の指標
- 対立をオープンに議論している
- 全員が自分たちの仕事に注力してると感じている
- 新しい情報(や新しい人)を脅威ではなく、好機だと考えている
💁🏻♂️ 感想
いったん安定してきたら、いまのやり方を続けていきたくなる気持ちは、プロダクトに限った話じゃないかもしれない。新しい課題を積極的に探し、素直な気持ちで、好奇心を持って取り組むの大事だよなーと思った。
16章 どんなことでも
📝 この章に書いてあること
ここまでの章を踏まえて、プロダクトマネージャーが何をする人なのかが書かれてる。
💁🏻♂️ 感想
15章までを読んだ上でこの章を読むと、そういうことですよね!となりそう。全体を通して、プロダクトマネジャーやプロダクトマネージメントが何なのかわかってとても勉強になった。