オーナーシップという言葉は、「オーナーシップを持って業務を進める」「タスクを主体的に取り組む」といった使われ方をします。何かしらのやらなければならないことに対して、オーナーシップがあるかどうか。つまり、そのことに対して主体的に自分自身がオーナーとして動けるかということです。自分が所有している感覚、自分のものとして扱う意識があるかどうかが、オーナーシップを持っているかどうかの判断基準だと考えます。
また、自分がコントロールできる範囲も重要な要素です。コントロールできない領域では、誰かにその判断を委ねなければならないため、どうしてもオーナーシップは薄くなってしまいます。
要するに、オーナーシップとは、タスクや領域、システム、プロダクト、サービスを自分のものとして主体的に進められるかどうかということです。
オーナーシップがなぜ重要なのか
オーナーシップがなぜ重要なのか。オーナーシップがない状態では自分ごと化されていないため、ただやるだけの仕事になったり、関心が薄いものになったりします。こうした状況は組織にとって好ましくありません。
関心が薄いため、対象について深く知ろうとしません。調べることもしないし、何か変化が起きても気づきません。ビジネスや世の中の状況、システムの状況は日々刻々と変化するものなので、その変化に応じてさまざまな対応をしていかなければなりませんが、オーナーシップがなければそうした対応に遅れが出てしまいます。
変化に対応できなくなると、システムなら徐々に劣化し、ビジネスなら売上が上げられなくなって成立しなくなります。そのため、変化に対応して良いものを作っていくためには、オーナーシップが不可欠です。
例えば、自分やチームの外部で決まったことが突然降りてきて「これをやれ」と指示されたとします。これは押し付けられている状態で、オーナーシップが薄い状態です。押し付けられた業務で何か問題が発生した場合、外部からの指示であるため、再び外部の人へ確認を取らなければなりません。こうしたことが続くと、あらゆる判断を外部へ委ねるようになり、その都度時間がかかってスピード感のあるものづくりができなくなります。最終的には、そのチームは自分たちで判断し考えることができなくなってしまいます。これは大きな問題です。
そうした意味では、チームという単位ですべての意思決定ができる状態が理想であり、そうした体制を目指すべきです。ただし現実的には、すべての意思決定をチームの中だけで完結するのは難しい場合も多いです。そのため、ステークホルダーをマネジメントして、できるだけチームの中で意思決定できるような体制を整える必要があります。ステークホルダーをマネジメントできる人がチームに所属するなど、そうした体制を構築しておかないと、外からの押し付けられた感が出てしまいます。
オーナーシップを獲得するためにはどうしたらいいか
自分ごと化することが重要です。そして、自分ごと化するための要素の一つが、なぜこれをやるのかという課題の理解です。つまり、「Why」への理解が欠かせません。
Whyへの解像度が低い状態では、自分のものという感覚よりも、誰かから依頼されたからやるものという感覚が強くなってしまいます。オーナーシップを持って動くためには、Whyをより深く理解することが大切な要素の一つとなります。
一般的にWhyの重要性はよく言われることであり、実際にみんな重要だということはよく理解しています。しかし、理解しているができない状態になることが多いと感じます。
その原因の1つには、Whyを知っている人とのコミュニケーションがきちんと取れていないことが考えられます。
コミュニケーションが取れない理由はさまざまですが、Whyを知っている人は忙しかったり、チームとして壁があったりすることが多いです。偉い立場の人で物理的な忙しさから深く聞けないということもあります。また、聞くことはできても、Whyへの解像度が違って話が噛み合わなかったり、表面的な理解で終わってしまう場合もあります。
例えば、Whyを理解するためにはさまざまな前提知識が必要です。サービスやプロダクトを作る際には、市場の状況や競合の分析、ユーザーのことなど、多くの前提知識があった上で、「この課題を解決したい」「なぜこの課題を解決したいのか」が明確になります。しかし、前提となる知識の解像度に違いがあると、Whyを知っている人が答えても、その前提を省いて端的な回答になってしまいます。そこから深掘りするのは大変で、腹落ちしない状況で「よく分からないが必要だからやる」ということになってしまいます。
これは双方の歩み寄りが必要ですが、分からない側が質問をたくさんしなければ、結局どこまで分かっているか分からないため進展しません。そのため、Whyをきちんと知りたい人による深掘りと多くの質問というアプローチを良いと考えます。一方で、知らないものは聞けないので、知っている側による全体像の最初の説明も重要です。
また、Whyを自分で作り出すことも1つの方法です。自分なりになぜこれをやるのかを考え、やりたいものを生み出して、なぜこれをやるのかを決めて自分で進めます。誰かから与えられた課題ではなく、自分で課題を作ると、最も解像度の高い自分自身であるため、オーナーシップを獲得しやすくなります。